14 Til I Die

消されるな、この想い

ミステリレビュー「探偵映画」 著:我孫子武丸

探偵映画 (講談社文庫)

探偵映画 (講談社文庫)

 鬼才・大柳登志蔵監督が映画の撮影中に失踪した。後は結末を残すのみ、という状況での監督の失踪に青ざめるスタッフ達。映画の結末は、監督その人しか知らないのだ。悩みに悩んだスタッフ達は、自分達で何とか結末を推理し映画を完成させようとするが……。

 全体的に普通の娯楽作品然としており、映画の話中心で進むのだが、これは紛れも無いミステリ小説に違いない。はっと驚くような展開や、血なまぐさい殺人事件なども起こらないし、(優秀ではあるが)定石の範囲内の結末など、決して前衛的とは言い難いが、逆に「普通に読めるミステリ」である所が本作の魅力に相違ない。
 是非、映画化してもらいたい作品の一つ。

評価:★★★★☆

(初稿:2004/08/19)