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14 Til I Die

消されるな、この想い

ミステリレビュー「テロリストのパラソル」 著:藤原伊織

テロリストのパラソル (講談社文庫)

テロリストのパラソル (講談社文庫)

第41回江戸川乱歩賞・第114回直木賞受賞作
 本作は、ミステリ小説であると同時にハードボイルド小説でもあり、そしてまた「青春回顧」小説でもある。
 学生運動に参加していた過去を持つ、アル中の中年バーテンダーである主人公・島村。すっかりくたびれ、爛れた生活におぼれていた彼に降りかかった突然の災難――爆弾テロ事件。その事件でかつての恋人が犠牲になった事を知り、また彼女の娘と出会ったことで彼の生活は急激に変化していく……。
 「学生運動」「冴えない中年が演じるハードボイルド」というキーワードに、「全共闘世代の自己満足」という批判を浴びせる方もいるようだが、そういった言葉は的外れであるという事が、本作を読了した著者よりも若い世代の人間にはお分かりいただけることだろう。

評価:★★★★☆

(初稿:2004/08/01)