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14 Til I Die

消されるな、この想い

ミステリレビュー「暗闇坂人喰いの木」 著:島田荘司

暗闇坂の人喰いの木 (講談社文庫)

暗闇坂の人喰いの木 (講談社文庫)

 御手洗潔シリーズ。
 雰囲気も良い。物語の展開も流石の巧さ。「人を喰らうと言われる巨木」という物語のシンボルは、中々にゾクゾクとさせてくれる存在であるし、スコットランドまで調査旅行に赴くというエピソードも良い演出だ。
 だが、肝心要のトリックがそういった雰囲気作りと絶望的なまでに釣り合っておらず、ガッカリさせられた。 どこぞの残虐貴族を真似ただけのような描写はオリジナリティに欠け、何とも魅力を感じない。 随所で挿入される小エピソードも何らかの伏線になっているのかと思いきや、その殆どが何の意味もなく脱力させられる。そういったちぐはぐな点がやけに目立つ印象を受けた。
 作中におけるホラー小説のような恐怖演出の秀逸さや、シリーズ上重要な人物の初登場エピソードである点だけを見れば、決して駄作とは言えずむしろ標準的な作品なのだが。
評価:★★★☆☆
(初稿:2004/08/24)