14 Til I Die

消されるな、この想い

ミステリレビュー「亡国のイージス」上・下 著:福井晴敏

亡国のイージス 上 (講談社文庫)

亡国のイージス 上 (講談社文庫)

日本推理作家協会賞・日本冒険小説協会大賞・大藪春彦賞を受賞。

 米軍の機密兵器、暗躍するテロリスト、そして自衛隊の抱える暗部。軍事冒険小説のお手本のような本作は、同時に後の世に冒険ミステリの名作として語り継がれるであろう作品でもある。
 上巻では、米軍と自衛隊情報部がひた隠しにする事件を背景に、最新鋭護衛艦いそかぜ”の乗組員達が事件の渦中に否応無く巻き込まれていく姿を描き、そして急展開の下巻へと実に巧みに物語が流れている。
 軍事物のように特殊な社会の中で専門用語が飛び交うような作品は、得てして難解な内容になってしまう事も少なくないが、本作は非常に軽快な読み心地であり、また登場人物についての描写に手を抜いていないため、純粋にドラマを楽しむ事が出来る。良作。

評価:★★★★★

(初稿:2004/07/30)

亡国のイージス 下(講談社文庫)

亡国のイージス 下(講談社文庫)