ミステリレビュー「翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件」 著:麻耶雄嵩
- 作者: 麻耶雄嵩
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1996/07/13
- メディア: 文庫
- 購入: 5人 クリック: 206回
- この商品を含むブログ (96件) を見る
さて、少々ネタバレをしてしまえば本作は大まかに言って「メタミステリ」に分類される作品と言える。古典本格ミステリの様々なエッセンスや、特定作品に向けたオマージュが多用されており、そういった読み方をした場合、所々で失笑*1を禁じ得ない、そんな作品だ――ただし、度を越したミステリマニアにとっては、だが。
オマージュを意識し過ぎた雰囲気は出来の悪いパロディ以外の何物でもなく、最後に待ち受ける驚天動地の結末については最早ただのギャグにしかなっていない。ネット黎明期に某有名ミステリ系テキストサイトでも鉄板ネタとして取り上げられていた、と言えば一部の方には通りがよいだろうか? 私的には「金田一少年の事件簿」*2を読んでいたのにいつの間にか「名探偵コナン」にすり替わっていた位の衝撃だった。
しかしながら、この作品は新本格の旗手と呼ばれるようなお歴々をはじめとするミステリマニアの方々には概ね評判がいい。まことにミステリマニアとは業の深い生き物であると、ため息を一つ。
評価:★☆☆☆☆
(初稿:2016/1/7)