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14 Til I Die

消されるな、この想い

「ゲーム音楽系MIDIサイト」回想

 放置&データ少なすぎな当サイトのMIDIコーナーでございますが、これがどうしてサイト開設間もなくからやっておりますので、歴史だけはやけに長かったりします。
 私がサイトをはじめた頃は、丁度MIDIサイト――特にゲーム音楽系のそれが一番盛り上がっていた時期で、メジャー所からマイナー作品まで、実に様々なタイプの楽曲がネット上に溢れておりました。その中で、斬新なアレンジ楽曲が生まれたり、「隠れた名作」がMIDI職人の手によって復活し日の目を見たり、色々な現象が見られました。
 しかしながら、ゲーム音楽系MIDIサイトはやがて大きな変革を迫られる事になりました。2001年、かの悪名高きJASRACによりネット上の音楽配信への課金体制が発表され、その手は非営利個人MIDIサイトにまで及んだのです。
 「ネット上で著作物を公開する際には、公衆送信権やら複製権やらが絡んでくる為に、JASRACとしても許諾制度を整えなければならない」、というのがその理由でしたが、発表された料金体系・システムは非営利サイトに対しては破格の高額である上に配信できる楽曲の数も大幅に制限されると言う物で、しかも著作権者への還元がされるのかどうかも怪しい、いかにもJASRACらしいどんぶり勘定的な代物でした。
 署名運動なども行われましたが、皆様ご存知の通りJASRACへの不満・異議は不思議なオブラードによってなかった事にされるのが常、最終的にいい加減なシステムがそのまま実行される事になりました。
 結果的に、大手サイトは個人非営利運営がまず不可能な料金体系についていけず次々に閉鎖、中堅サイトも軒並みオリジナル以外のMIDIを削除、零細サイトも目標とする大手が消えていく中自然消滅等など、ゲーム系MIDIサイト界隈は一気に萎んでいきました。生き残ったのは、主にJASRAC管轄外の楽曲を扱っていたサイトや、ネット上のMIDI活動に好意的だった一部のメーカーの作品を扱っていたサイトなど、ごく一部。
 中には、JASRACが用意した管轄楽曲データベースを参考に該当データを予め削除していたのに、「データベースには載ってないけどこれとこれとこれも管轄。金よこせ」と、ある日突然莫大な料金を請求されたサイトもありました。
 それまでのMIDIサイト界隈の感覚は、「ファン活動の一環」でありまた「路上演奏の類型」でありました。需要も、「CDを買わないですむから」という理由よりはむしろ、「今後CD化の予定がないから」「MIDIデータから盛り上げてCD化運動を」というものや、「特定の職人さんのファンでその人のアレンジが聴きたいから」という理由のものが殆んどではなかったかと思います。
 ゲーム音楽ファンは、ネット上でのファン活動の場を大部分奪われた訳です。
 ところで、ゲーム音楽系MIDIサイトの全盛時期は、ゲーム音楽市場全盛時期(1990~2001辺り)とかなりの部分重なります。ゲーム音楽市場も、かつては一般のCDショップにまでゲームミュージックの棚が存在していたのが、現在では1アーティスト並のスペースしか存在しないという体たらく。オタク系ショップでさえ、特定のジャンル(主にエロゲ)を除けばBLのスペースにさえ負ける始末。ゲームサントラ自体は発売され続けているはずなんですが、流通量はかつてと比べるべくもなく落ちている模様です。
 相関関係こそ立証出来ませんが、ネット上でのゲーム音楽系MIDIサイトの衰退が、ゲーム音楽市場衰退の一因になっているような気がしてなりません。

(10/13:追記及び補足)拙日記で補足文章を書きました。また、作詞家小室みつ子氏が会員から見たJASRACへの疑念を書いておられます。ご参考までに。

今回の作業BGM:【ドラゴンクエスト】ゲームオリジナルサウンドメドレー
(初出:2005/10/09)

上記は、ゲーム音楽系MIDIサイト管理人の端くれだった私が、JASRACによる規制開始からの約4年間を振り返って執筆し、拙サイト(閉鎖済み)にUploadしたテキストとなります。
2012年にもダウンロード違法化を中心とした著作権法改正と前後して、JASRAC日本レコード協会による「違法音楽配信」へのネガティブ・キャンペーンが目立ちましたが、相も変らぬ「利権」を守って「文化」を守らぬその姿勢に多くのネット民が失望した事は記憶に新しいと思います。
上記の通り、ネット上での音楽配信についてJASRACが本腰を入れたのはおおよそ12年前のことなのですが、どうにもその頃から彼等の頭の中は全く変わっていないようにも見受けられます。当時私が危惧したのはゲーム音楽市場の衰退ですが、まさか邦楽市場まで恐るべきレベルの衰退の道を辿ってしまうとは……。

なお、現在ではニコニコ動画等の動画配信サイトではJASRACとの包括契約により、音楽系の二次創作作品についても比較的「ゆるい縛り」の中で配信する事が可能になっています。ニコニコ動画がお膳立てしてくれたその「ゆるい縛り」によって数多くの素人Pが活躍の場を得たことは言わずもがなでしょう。