ミステリレビュー「青の炎」 著:貴志祐介
- 作者: 貴志祐介
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2002/10/25
- メディア: 文庫
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――家族を守るため、少年は「殺人」を決意する。
警察にも法律にも見放され、生来の頭の良さと若さゆえの性急さから「完全犯罪」を企てる主人公の少年。本作を読んでいて最も強く感じた事、それは主人公の「孤独さ」だった。
なまじ頭が回るだけに、何とか自分だけの手で問題を解決しようと苦しみ続ける主人公。もし、彼が少しばかり情けない思いをしてでも、友人や周りの人間に助けを求めていれば、「殺人」という最終決定を下さずに済んだのでは? という気持ちが強く残った。
本作は、読んだ者の心にその類の「刹那」を残して終局へと向かう。哀しいが故に、本作は名作である。それがまた「切ない」所だ。
評価:★★★★☆
(初稿:2004/08/20)
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