14 Til I Die

消されるな、この想い

ミステリレビュー「クリムゾンの迷宮」 著:貴志祐介

目覚めると見知らぬ赤い大地に一人いた。そして訳も分からぬまま、同じ境遇の人間達と謎の「ゲーム」への参加を余儀なくされる……。

 ゲーム・ブックに熱中した世代ならば感涙物であろう数々の演出や、次第に血なまぐさくなってくる「ゲーム」。「突然未知の環境に放り込まれる」類の物語は数多くあるが、本作は演出・展開の点で群を抜いて秀逸。
 惜しむらくは、ゲームブックのあの雰囲気と、「ほろ苦いトゥルーエンド」の意味を知らない人間には、いまいち結末が理解し難いかもしれないという点。決して「投げっぱなしの結末」ではないのだという事を、微力ながら主張しておこう。

評価:★★★★★

(初稿:2004/07/30)